コラム

取引先の倒産

質問

取引先が倒産しました。裁判所からは破産の手続が始まったとの書類が来ました。当社は,相手の会社に対して未回収の売掛金をもっていますが,これは支払ってもらえないのでしょうか。

回答

 債権届出をきちんとする

債務者からは債権届出をするよう求められますので,債権の金額,内容,発生原因,弁済期等を精査し,その根拠となる資料を添付して提出しなければなりません。

相手方は当の取引相手なので,債権の金額や内容くらいは相手はわかっているではないかと思われるかもしれませんが,倒産直後の混乱により資料が散逸したり,担当者が退職して連絡がつかなくなったりして把握ができないことはよくあります。

債権届出をきちんと出して自分が債権者であることを明らかにしないと,手続による配当も得られないことになります。

担保権の行使

担保権を設定していた場合,破産手続・民事再生手続では,担保権は別除権と呼ばれ,原則として倒産手続の制約を受けずに行使できます。

担保権は当事者同士の契約により発生するものだけではありません。法定担保権と呼ばれる,法律に定められた担保権があり,この行使が可能でないか,検討をすべきです。よく問題となるのは,商事留置権と先取特権です。

保証人がおり,保証人について何の手続も取られていないような場合には,保証人に対して請求することも考えられます。

相殺の可否

倒産した取引先に対し債権を有しているが,逆に相手方に対しても債務を負っていれば,相殺を検討する必要があります。

相殺にあたっては,相殺できる状態にあるか(相殺適状)はもちろん,倒産手続上相殺が許されるかどうか,留意する必要があります。破産手続では,原則として手続終了まで相殺が可能です。民事再生手続・会社更生手続では,債権届出期間中に相殺の意思表示をしなければなりません。