1 申立費用
裁判所で必要となる費用です。
東京地裁本庁では,以下の費用がかかります。
・申立手数料(収入印紙代) 1万円
・予納金(官報広告費用) 1万1928円
・切手代 120円切手×債権者数×2+80円切手×20枚
その他,個人再生委員の報酬として15万円程度かかります。再生計画通り支払いができるかどうかの履行テストで積立をしたものがそのまま再生委員の費用になりますので,一括で必要になるわけではありません。
その他の裁判所に申し立てる場合には,お問い合わせください。
2 弁護士費用
当事務所に対する報酬です。
・簡易な事件(財産がなく,住宅資金特別条項を付さない場合)
36万7500円
・それ以外の事件(住宅資金特別条項をつける場合)
50万2500円以上
弁護士費用は,申立の前にお支払いいただきます。
※収入・財産等の基準を満たす場合,法テラスから援助を受けることも可能です。この場合,法テラスの援助基準によります。
※分割払いもご相談に応じます。
※任意整理から移行して個人再生をせざるをえなくなった場合,個人再生の着手金のみ受領し,任意整理の弁護士費用との過不足を調整します。
住宅ローンが銀行からの借り入れの場合,保証会社が住宅ローンの保証人となっていて,住宅ローンの支払いに問題が起きると,保証会社が銀行に住宅ローンの残額を立て替えて支払い,保証会社が立て替えたお金の返済を請求してくるケースがよくあります。この立て替え払いのことを代位弁済といいます。
保証会社は銀行に一括で支払いをしているので,本来ローンを支払うべき債務者にも一括払いを請求されることになります。保証会社としては住宅を担保に取っているので,最終的には住宅を競売にかけるなどして,銀行に支払った額を回収することができるのです。
このような状態になったら,いくら銀行と話し合いをしたり,これまでの滞納分を支払ったりしても,再びローンの分割返済を開始することはできません(銀行が応じません。)。 銀行としてはすでに保証会社に立て替え払いしてもらっていますし,一方の保証会社としては銀行に一括で支払っており,それを分割で回収するというのでは待てないのです。
このように,保証会社の代位弁済がされると,住宅の確保は非常に困難になります。
このようなときでも,代位弁済から6ヶ月以内に個人再生申立をすれば,代位弁済前の状態に戻すことができるのです。
・再生債務者(民事再生を申し立てる人)が所有する建物であること
・再生債務者が自己の居住のために持っている建物であること
・住宅の建設や購入,または改良のために必要な資金の借入れをしていること
・住宅ローンが分割支払いの契約であること
・住宅ローンの債権者または住宅ローン債権者の保証会社が,住宅に抵当権を設定していること
・住宅ローンの債権者に対し保証会社が代位弁済している場合は,代位弁済から6ヶ月以内に民事再生を申立てること
1 申立から再生計画認可決定まで
東京地裁の個人再生手続進行予定表によれば,申立から再生計画の認可決定まで,6カ月とされています。
2 弁済の終了まで
弁済期間は原則3年間とされています。
ただし,特別の事情があるときは,5年を超えない範囲で延長した再生計画を作ることができます。
1 最低弁済基準
まず,債務の総額から,法律で定められた最低弁済額を計算します。
くわしくは以下のとおりです。
債務の総額(住宅ローンの額は含まない) 弁済が必要な最低金額
100万円未満 該当金額
100万円以上500万円未満 100万円
500万円以上1500万円未満 該当金額の1/5
1500万円以上3000万円未満 300万円
3000万円以上5000万円以下 該当金額の1/10(上限500万)
2 清算価値保障原則
次に,民事再生法では,再生計画における弁済額が破産手続による債権者が配当を受ける金額よりも多くなければいけないという原則があります。
そのため,現在有している財産の総額を計算し,「1」の金額と比べる必要があります。金額の多い方が,必要な弁済額になります。
3 可処分所得弁済要件
さらに,給与所得者等個人再生手続を選択する場合,以上の要件に加え,「可処分所得弁済要件」を満たす必要があり,「1」,「2」,「3」を比較したうちの一番多い額が必要な弁済額になります。
これは,以下の方法で計算されます。
① まず,2年間の収入の合計額から,所得税,住民税,社会保険料を控除し,これを2で割る。
・小規模個人再生手続の場合
住宅ローンを除く債務が5000万円以下,かつ,将来において継続的に収入を得る見込みがある個人事業主やサラリーマンなど
・給与所得者等再生手続
住宅ローンを除く債務が5000万円以下,かつ,給与などの安定的な定期収入があるサラリーマンなど
1 小規模個人再生手続
小規模個人再生手続は,将来において継続して一定の収入を得る見込みがある個人で,住宅ローンなどを除く無担保の借金総額が5000万円以下であれば利用ができます。
再生計画には,債権者の同意が必要です。具体的には,再生計画案に同意しないと回答した債権者が,債権者総数の半数未満で,かつ不同意債権者の債権合計が債権総額の1/2を超えないことが必要です。返済金額は,大まかには,現在の資産の合計,債務総額の5分の1以上,100万円の中で,一番大きい金額となります(再生債権総額が3000万円を超える場合は1/10が最低弁済額)。
2 給与所得者等再生手続
利用条件に,給与等,定期的収入を得る見込みがあり,給与等の額の変動の幅が小さいこと (サラリーマンや公務員など)
再生計画に債権者の同意は不要となっていますが,一方,返済金額は,一年相当の手取収入額から最低生活費を引いた額の2倍以上にならなければならないという条件が付け加えられています。
3 両者のちがい
給与所得者等再生手続では,再生計画に債権者の同意が不要とされている点がもっとも大きなちがいです。そのかわり,給与所得者再生は,利用条件や返済金額の点でハードルが高くなっています。
負債に対する支払義務について,自己破産では,免責決定により,全ての債務の支払義務が免除されますが,個人再生では,再生計画認可により,債務は大幅に減額されますが,再生計画に定められた支払義務が残ります。
保有する財産について,自己破産では,現金99万円以上及び20万円以上の価値のある物は原則処分されますが,個人再生では全ての財産は処分しないで所持し続けることができます。ただし,財産の金額によっては,債権者への弁済金額に影響する場合があります。
また,自己破産をすると,一定の資格制限があり,破産法に定める職業に従事している場合,免責許可が確定するまで,その職業に従事できなくなりますが,個人再生では,資格制限はありません。